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バラ積みピッキングがやりたい

成形機などで作られた部品を次工程に流していく際に、ワークが整列されておらず自動供給が困難となり、人手で対応しているケースがあります。ワークのサイズが大きくボウルフィーダーなどによる供給が難しい場合でも、3Dカメラを用いたピッキングであれば対応可能です。3Dカメラで取得できる点群データを使えば、ワークの位置と姿勢を把握して、ワークを一個ずつ次工程に投入できます。このコンテンツでは、バラ積みピッキングが利用されるシーンやシステム構成、チェックすべきポイントについて解説します。

システム構成と仕組み

 

機器構成の一例として、上図を紹介します。

①6軸ロボット②3Dカメラ③PC(できればGPU搭載モデル)④スイッチングハブ(図はPoE)⑤コンテナ⑥LANケーブル です。機器の繋ぎ方は、上図を参考にしてください。上図は、「eye to hand 」と呼ばれており、3Dカメラを柱などに取り付けて使う方法です。6軸ロボットに取り付ける方法もあり、「eye in hand」と呼ばれています。前者の方が、ロボットの制動時間を考慮する必要がなく、またロボットが別の作業をしている時に撮像や画像処理を行うことができるため、サイクルタイムには有利です。eye in hand はロボットが2か所以上の場所で撮像を行う必要がある場合に採用されます。ケーブル接続は変わりありませんが、カメラとロボットのキャリブレーション方法が違います。

 

動作サイクルとしては、
ロボットのプログラムをスタート

ロボットコントローラからカメラのソフトへ撮像トリガーを出す

カメラが撮像

PCで点群と画像を処理し、ピッキングできる座標をロボットに送る

★ロボットがピッキング対象物まで動く

ロボットの動作完了

チャッキングまたは吸着

ロボットZ軸上昇

ロボットが投入ポジションへ移動
(eyetohandであればこのタイミングで次回ピッキング分を撮像)

ロボットの動作完了

チャックを開くもしくは吸着破壊

上昇

2回目の撮像結果が出力されていれば、ロボットがピッキング対象物まで動く

以降★から繰り返し

 

通信方法ですが、
ハード面は、Ehternetケーブルで各機器を接続しておきます。
ソフト面は、TCP/IP通信でロボットの座標データと撮像開始完了信号のやり取りを行います。
ピッキング動作ですが、ロボットをマスタとして構築する方法、
画像処理のソフトウェアをマスタとして構築する方法があります。

キャリブレーション

カメラを利用して座標データのやり取りを行う時に必要となるのは、ロボットの座標系とカメラの座標系の整合性を取ることです。この行為は、ハンドアイキャリブレーションと呼ばれています。道具と方法についてはいくつかのやり方があるのですが、ここでは最も一般的な方法を記載します。前述のeyetohandでは、まずロボットにチェスボードを保持させます。チェスボードの把持方法に指定はありませんが、チェスボード全体が見えるようにする必要があります。この時使用するチェスボードは、マス目交点のピッチ公差が数ミクロンのものを使用します。精度が出ていないチェスボードを使用すると、ロボットとカメラ間の精度誤差が大きくなってしまいます。手順としては、メーカーのソフトウェアに従いながら行っていけばよいのですが、どのソフトウェアも基本的には、ロボットの移動と撮像を繰り返すことで、ロボットの正味移動距離に対して、カメラから捉えられた寸法の分かっているチェスボードの移動距離がどうなったのかを確認するものです。 20枚程度を様々な姿勢で撮像し、最終的には、ロボットのワールド座標系とカメラ座標系の対応関係を算出して、カメラで捉えた位置や姿勢をロボット座標系で使用できるようにします。

投資対効果を確認しよう

まずは投資対効果を確認しましょう。その部品の供給は、本当にバラ積みピッキングでないとできませんか。バラ積みの部品を次工程に投入する基本的な方法に各種フィーダーを利用する方法があります。バラ積みピッキングは、ボウルフィーダーなど各種フィーダーと比較して、高額となるケースが多いです。6軸ロボット+3Dカメラ+GPU付きのPCなど高価な構成が必要となるためです。これらを単純に足し算しても、購入品費のみで500万円以上かかる為、フィーダー+単軸ロボット(エアシリンダ)などと比較すると高くなるため、前提条件として、フィーダーでの部品供給に問題がある場合に採用されます。例えば、フィーダーに入らないサイズの大きな部品を供給する場合は、フィーダーで振動を使った整列ができないため、そのようなケースではワークの供給方法としてバラ積みピッキングが採用されます。

要求サイクルタイムは?

バラ積みピッキングの1サイクルは、PCや3Dカメラ、6軸ロボットでの処理速度に依存します。
基本的な動作サイクルは、

3Dカメラで撮像(0.7sec)

PCソフトで画像・点群を判断(1.0sec)

座標データをからロボットに送る(0.1sec)

6軸ロボットを目的の位置に移動(3.0sec)

チャックもしくは吸着(0.3sec)

6軸ロボットをワークを投入位置へ移動(3.0sec)

チャック解除(0.3sec)  

合計1サイクル8.4秒
()内に参考となる時間を記入しました。
※システムを構成する機器やレイアウトに依存します。

上記は一例ですが、10秒を切るサイクルタイムが要求される場合は、事前にテストを行ってサイクルタイムが設備としての要件を満たすか確認しておくことをお勧めします。

(事前テストのご依頼は、こちらから)

どの程度の精度が必要なのか

精度に影響する要因として


①3Dカメラの精度(±0.5mm)
②ロボットの絶対位置決め精度(±0.5mm)
③ロボットのツール先端の校正(0.2mm)


など挙げられます。正直なところ、机上の計算だけでは判断が難しいところもあるのですが、()内に一例を紹介しました。上記は一例にはなりますが、1mm程度の誤差を含んでしまう可能性があります。 供給時に精度が必要ない場合や、チャックで挟んだときにワーク形状がチャックに倣ってセンター揃えとなるなど、ハンドに位置決め効果が存在すれば、そのまま次工程に供給することができますが、そうでない場合は、位置決め装置に一度置いて掴み直す必要があります。コボタロウでは、様々な3Dカメラを取り扱っておりますので、3Dカメラによる違いを知りたい方は、下記よりご連絡ください。 

3Dカメラに関するお問合せは、こちら

ワークの大きさは?

精度に続いて次は、ワークの大きさを確認しましょう。ピッキングに影響があります。一般的な3Dカメラでは、3㎜以下となるとピッキングが困難になるケースが多いと思います。バラ積みピッキングの精度に起因して、掴みたい場所からズレてしまうとピッキングミスが起こってしまうためです。ワークの大きさが、300㎜程度まで大きくなってくると、バラ積み状態のワークを入れる箱(コンテナやパレテーナ)のサイズも大きくなりカメラには、広画角が要求されます。必然的に筐体の大きいカメラを高い位置に取り付けることになります。3Dカメラはデータを取得する際に、光の反射を利用しているため、高い位置に取付けてワークディスタンスが長くなればなるほど、精度が落ちていきます。

撮像範囲とワークディスタンスの計算は、こちらから 

ワークの表面色や反射を確認しよう

次にワークの表面特性について確認しましょう。光が反射しやすいピカピカした金属面や、真っ黒で極端に反射光が得られないワークや透明色になると点群データがうまく取得できず、取得したデータのワーク表面に穴が開いていたり、物体がないはずの場所に点群データが生成されてしまったりします。カメラによっては、透明ワークを認識できるものや黒いワークにも対応できるものもありますので、本コンテンツの最後に紹介します。

ワークとカメラの距離はどのくらい

ワークとカメラの距離(ワークディスタンスと言います。)が離れると、2D画像と同じように3D点群データの精度が落ちます。3Dカメラはカメラ毎にワークディスタンスを決めてあり、短い距離で使用するカメラと長い距離で使用するカメラ距離では、カメラ内部のコンポーネントやチューニングが違います。カメラを選ぶ際は、想定される使用シーンやワークディスタンスを元に選定するようにしましょう。当サイトやメーカーサイトにワークディスタンスの記載があります。

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